春の台湾日記

私と台湾

5回目の訪台(台北〜台中〜嘉義〜高雄〜花蓮〜台北)3日目 阿里山(阿里山森林遊楽区)

奮起湖発、阿里山行きのバスで、どんどん、どんどん山を登っていきます。嘉義駅から奮起湖駅までで相当山を登ってきていたと思っていたので、さらにここまで登るとは思っておらず、驚きました。窓から見る景色で、自分があまりにも高い所にいる事に気が付き、こんな所に来て良いのだろうか…と空恐ろしくなってしまうほどでした。あまりにも、自分が普段暮らしている場所とは別世界でした。

自分がここにいることが不思議に思えてくる景色でした

奮起湖から1時間ほどで阿里山国家森林遊樂区に到着しました。ここでは入園料が300元かかりますが、バス利用者は下車時に割引チケットを渡されるので、それを利用すると半額になります。券売機の近くに係りの方がいらっしゃるので、その方にチケット購入をガイドして頂きました。

阿里山国家森林遊樂区の入り口

ここから、阿里山散策を始めます。私はてっきり"阿里山"という山があるのかと勘違いしていましたが、阿里山という山があるわけではないのですね。阿里山というのは18の高山が連なってできているそうです。阿里山は玉山山脈の支脈に属し、同富渓を挟んで玉山の主峰を望むことができます。

阿里山郷には昔から台湾原住民ツォウ族(鄒族)が暮らしています。鄒族の言い伝えによると、阿巴里という頭目を鄒族の人々は深く愛していたことから、狩りをする場所を阿里山と呼んだということです。

阿里山の中にある阿里山森林遊楽区は標高2,216m、四方を高山に囲まれています。最も有名なものは日の出、雲海、夕焼け、森林、高山鉄道の「五奇」で、有名な観光スポットとなっています。

今回の旅ではこの後も原住民にまつわる土地に行ったり、原住民についての資料を見たりしたことで、今後さらに理解を深めていきたいと強く思いました。

バスから見たあまりの標高の高さに、どんな秘境の地に来てしまったのだ、と、ビビっていた私ですが、阿里山国家森林遊樂区は歩道や階段、トイレなどがきちんと整備されており、何の不安もなく散策を楽しむことができました。

阿里山中で最も高い位置にある阿里山賓館

疲れも吹き飛ぶような清々しい空気と風景です  

そして、来たのは受鎮宮。受鎮宮は阿里山地区で最大規模の寺廟で、玄天上帝、福德正神、註生娘娘が奉られています。

旧暦三月三日は、正逢玄天上帝誕生の一週間前で、かつ、阿里山カレハモンシロチョウの繁殖期でもあるそうです。 カレハモンシロチョウは繁殖期の頃、線香の香りと光に集まり、寺廟の中に留まるのですが、その1週間後である玄天上帝の生誕日の頃にはだんだんとこの場所を離れていきます。 地元の方々はこのカレハモンシロチョウを「神の蝶」と呼び、毎年「神の蝶」は、この時期に玄天上帝に捧げる舞いをしているのだと信じているそうです。

受鎮宮

昔の木の運搬方法の展示

ここから階段が何百段と続きます ここが一番キツかったです

奇妙な形の木が多くあります

長い階段を昇ると、姉妹潭に辿り着きます。ここに来るのはは、阿里山に来たかった理由の大きな一つでした。

姉潭は長方形、妹潭は丸形で姉潭の三分の一の大きさです。台湾では近年干ばつが続いており、姉妹潭は今から18年前に水が底をついてしまいまったこともあります。水が豊富な時期であればより綺麗な景色が楽しめます。

言い伝えでは、同じ男を愛してしまった姉妹が、お互いを傷つけたくないあまり、二人ともこの湖に飛び込み死んでしまったことから姉妹潭という名がつけられたと言うことです。後に姉潭に、大きなヒノキの根を利用した土台がつくられ、その上に二つの休憩所ができました。木の橋によって姉潭と妹潭はつながっており、全長180メートルの歩道で湖を一回りできるようになっています。

湖面は静かで、ベンチに座ってじっと眺めていると、あっという間に時間が過ぎてしまいました。本当に綺麗で、穏やかな時間が過ごせました。

姉潭

"三兄弟" 姉潭のほとりに、切り株から生えてきたそっくりなヒノキの木が3本並んでまっすぐ生えています 

"四姉妹" ヒノキの切り株に種子が定着し、切り株からの栄養によって成長した

次に、しばらく歩いて沼平駅に到着しました。

沼平駅 祝山に続く歩道はここから始まります

その後、ぐるっと一周周り、再び阿里山賓館を通り過ぎて三代木を見にいきました。

これは奇妙な木が多くあるあこの森の中でも群を抜いて変わった木でした。 まず初めのタイワンベニヒノキが成長し、1500年経った後に枯れ、幹が横倒しになりました。 さらにここから250年が経過し、横倒しになった幹の表層がコケで覆われたことによる保湿効果と、十分な日光によって第二代目の芽が出たのです。 第二代目の苗は枯れた木から養分を得ることで成長を続け、300年後にはこの第二代目の木も長い年月をかけて枯れ始めます。枯れた木の根にはだんだんと空洞ができ、そこからさらに新しい芽が出てきたそうです。そして今見られるのが第三代目の木です。 このように三世代の木が同時に存在するのは非常に珍しく、この複数の木が絡み合って、見ようによってはハート形にも見えることから、台湾ではカップルの写真スポットとなっているそうです。確かに、私の行った日にも複数のカップルが三代木の前で写真撮影をしていました。 この木の形状はとても面白く、大変見がいがありました。

三代木を左手に見ながら進み階段を昇ると香林国小があります

しばらく道なりに進むと、阿里山博物館に到着

2019年に主要な建造物がほぼ全焼してしまった首里城にも使われていたタイワンヒノキで建てられた阿里山博物館には、大きなヒノキの横断面や、木が伐採されてからどのように運ばれて加工されていくのかといった模型、日本統治時代の地図などが展示されていました。

この先にも行ってみたかったのですが、時間の都合でここで引き返しました。阿里山は時期によって違う表情が見られる場所なので、必ずまた来たいと思える素晴らしい場所でした。

何も考えられなくなるほど神秘的で恐ろしいほどの景色でした

阿里山バスターミナル