春の台湾日記

私と台湾

5回目の訪台(台北〜台中〜嘉義〜高雄〜花蓮〜台北)6日目 縦谷花蓮線(林田山林業文化園區)

林田山林業文化園區のバス停は施設から少し離れており、どちらに進んで良いか迷っていた所、バスの運転手さんがクラクションで気付かせて場所を教えてくださり、異国の地での人の優しさが心に沁みました。

ここ、林田山林業文化園區は台湾初期林業の文化と歴史を保存する場所であり、日本統治時代には"森坂"と呼ばれていました。その後、日本統治が終わると、"森栄(シェンロン)"と名前が変えられましたが、今でも地元住民の方々は"摩里沙卡(モリサカ)"と発音は日本統治時代のままで呼んでいるそうです。

ここでは日本統治時代に資源開発が盛んに行われ、多くの労働者と管理者が暮らしていたため、林業生産によって集落と商業が繁栄しました。

1950年代以降は林業が成長期へと突入し、全盛期には1000人を超える人々が暮らし、附属幼稚園や小学校、市場などもあり、小さな都会とも言えるほどの繁栄を見せていたそうです。

林田山林場は1988年に休業後、多くの住民は転居し、今は定年退職者世帯が数軒残っているだけとなっていますが、それでも数十年前の林業集落の姿をよく保存しています。

現在、林田山林業文化園區は各種施設を改修し、木彫展を開いたり、画集やハンドブックの出版によって、年間数十万人が来園する観光拠点となっています。

実際、私が訪れた時にも家族連れをはじめとする多くの観光客が訪れていました。

山に囲まれた穏やかな所です

広大な林田山林業文化園區 様々な施設があります

医者、歯医者、米屋の詳細な展示もありました

日本式の住宅

中山堂 かつては卒業式や演劇が行われ、1960年代には映写機を2台購入、週に2、3本の映画を無料で上映しており、林場職員の心の拠り所だった

木材、物資運搬のためのレール

林田山林業文化園區は山林に隣接しており、動植物や昆虫の種類が多く、散策が楽しい所です。また、2011年には森坂遊歩道が完成し、全長709mの森林浴を楽しむことができます。また、展望台からは林田山林業文化園區を見渡せ、萬里渓を眺めることができます。時間の都合上、萬里渓はちらっと見ることしかできませんでしたが、とても良い景色でした。

日本との関わりが深い林田山林業文化園區。林業が盛んだった頃に想いを馳せながら、自然豊かな園内を散策するのは、私にとってとても大切な時間となりました。